【ブログ】原油価格について考察する:OPEC減産緩和で価格下落か?


本日のOPEC総会にて、減産緩和が行われるかどうか・・・

これ次第で経済・金融市場に影響を与えると思いますが、現状の整理をしておきたいと思います。

 


現状


1.原油価格は上昇していた

5/21に1バレル=72ドルになるまで原油価格は右肩上がりに上昇しました。
主因は、減産計画やユーロ高ドル安と考えられます。

<原油価格推移>

原油価格はドル建てて取引されるため、ドル安・ユーロ高は買い材料となります。
ドル安・ユーロ高は欧州の景気回復と共に金融緩和から金融引き締めに転じる可能性から進んだと考えられます。

(関連記事:日米欧金融政策についてまとめたブログはこちらからご覧いただけます。)

<ドル・ユーロ推移>

2.原油価格は下落に転じた

ここ最近は減産緩和の報道や米欧の金融政策の違いから大きくドル高・ユーロ安となり、原油価格を押し下げました。1バレル=65ドル前後で推移しています。

これまでの報道では、一日60万バレル/日程度の増産となるのではないかと報道されていました。

3.6月21日:非公式の閣僚会合

6/21に非公式の閣僚会合が行われたということですが、以下の状況にあると報道されました。

・サウジアラビアが今後の深刻な原油供給不足を理由に増産の必要性を訴える一方、
・イランが反対姿勢を示し、増産で合意できるか不透明な状況
・サウジアラビアとロシアのエネルギー相は、日量約100万バレルの増産で合意しつつあるとしている
(名目的には100万バレルとしても実際には日量60万バレルの増産にとどまるということ)

4.イランの状況

イランは反対しているが、その背景にあるのは、
・米国は5月にイランに追加制裁を課しており、イランの輸出は2018年末までに3分の1減少すると見込んでいる模様
・OPECの増産でイランが得るものはほとんどないことを示している
ということです。
なお、トランプ大統領はこれまで原油価格は高いというコメントを残しています。


この先の原油価格は?


この先の原油価格については、

①為替影響:ドルとユーロの関係でいえば、大きくドル高が進む要因はない。従って、為替動向は上昇要因人はなりにくい

②減産緩和合意:合意するかしないかによっての影響は不明ですが、もし100万バレル増量となれば、これまでの60万バレルという報道よりも多くなるので、価格下落要因となりそう

③世界経済による需要動向:現在、米国の金融引き締めの中で、資金は米国に流れています。新興国株や通貨は安くなっています。原油価格がピークよりも安くなったとはいえ、まだまだ65バレルは高水準であり、かつ、通貨安の新興国にとっては原油需要は減少することになると考えられます。となると、原油価格は需要減少により下落する

と考えられます。

総じて原油価格は上昇というより下落する可能性が高いと推察されます。
OPEC総会以降、相場の動きを見て市場の判断を確認した方がよいと思われますが・・・)


原油価格下落の影響は?


なお、ここ最近は経済指標を見ても、原油価格上昇に伴うインフレ、経済活動、コスト増加による業績下押しをもたらす要因となる兆しが見られました。
この点については、原油価格が下落するとなればこの先はその影響が減少すると思われます。
(関連記事:経済指標については、こちらからご覧いただけます。)

ただし、原油価格の推移を見てもらうと、1バレル=60ドルを超えたのは昨年末です。まだ昨年と比べると高い水準にあります。
従って、価格が下落したとしても、依然として前年比ではネガティブな影響の方が強いということになります。

1バレル=60ドルを下回ることになり、下落トレンドが進んだとしても、ポジティブな形になるのは、来年以降のように思えます。


株式市場では?


株式市場では、原油価格上昇が業績にポジティブな企業が売られ原油価格下落がネガティブな企業が買われる展開になると推察されます。

そちらについては、☟のリンク先からご覧ください。

テーマ別チャート:原油安メリット銘柄(16)
テーマ別チャート:原油高メリット銘柄(8)

その他、業種別のチャート動向もたまに見ると面白いので、☟も是非ご覧ください。
東証33業種業種別チャート

例えば、紙・パルプが大きく下げていることが確認できますが、原油安メリット銘柄とされていますので、ここらへんが面白いかもしれないですね。

あとは、円高となれば、個人に人気の航空関連とかでしょうか。

 


6/23の状況(☝上記の補足)


1.OPEC総会を受けて大幅上昇した

☝で原油価格は下落する可能性が高いのではないかとしましたが、昨晩のOPEC総会の結果、原油価格は65ドル台から69ドル台へ大幅上昇しました。

恐らく、ショートカバー(売りポジションだった人の買戻し)も大きく影響したと思いますが、個人的には想定外の動きとなりました。

日経新聞では以下のように報じています。

・原油の協調減産を緩めることで合意。増産幅は想定の範囲内との見方が多く、需給悪化の懸念が後退
・サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相が、日量100万バレルの増産で合意したと述べたと報じた。
 ただ増産の余力がない国もあるため、実質的には「60万バレル程度の増産になる」とみられている。
・目先の売り材料が出尽くしたとみた買いが広がった。OPECは23日にロシアなど非加盟の主要産油国と協議する。
市場では「60万バレル程度の増産で合意できれば相場は足元の水準付近で安定する」(コメルツバンク)との見方がある。

2.個人的な見解

多くのひとが売っていたことを考えると、個人的な見方としては基本的には間違っていなかったということと思われます。

個人的に感じるのは
①想定内の範囲ならばここまで上昇しないのではないか?
②何か見落としている材料はあるか?
③供給が想定通りでも需要が減少する方向ならば下落するのではないか?
④欧州金利は下落しており、大きくユーロ高・ドル安(←価格上昇要因)にはならないのではないか?
ということです。上昇よりも下落する可能性が強いという見方に変わりはないのですが・・・

しかし、予想を外したのは事実なので、一度リセットして、原油価格については慌てることなくフォローしていきたいと思います。

週明けは、原油価格上昇がメリットとなる会社を短期的に買ってみるのはありかなと考えています。
原油価格下落の影響で各社の株価は下落していたようなので、買い戻しが期待できそうです。
テーマ別チャート:原油高メリット銘柄(8)

 

(注)投資判断はご自身でお願いします。


いつもありがとうございます。

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