【ブログ】イタリアより日本は深刻(日経:大機小機)を読んで(18/6/2)


いつも訪問ありがとうございます。

今回は、投資とは直接的には関係ないのですが、日経の大機小機を読んだのですが、大きく同感できる内容でした。ご覧になっている方もいるかと思いますが、ご紹介させてください。

現状の金融政策と財政政策はバブル的な要素があると考えています。将来的には日本危機が生じるリスクが極めて高いと個人的には考えています・・・

なお、2018年5月に生じたイタリア情勢不安の概要についてはこちらをご覧ください。


ポイント


①イタリアの長期金利は新政権により財政拡大のリスクから急上昇。債務危機が懸念される
②イタリアは財政赤字ではあるが、プライマリーバランスは黒字を維持している状況で債務残高対GDP比率は131%
③日本はプライマリーバランスの黒字化を2025年まで先延ばし。同比率は236%
④日本は少子高齢化で社会保障費は増加傾向
⑤日銀黒田総裁は財政リスクを警告するどころか事実上の財政ファイナンスで支えている。金利急騰のリスクがある
⑥政治家は危機感がない。悪性インフレで債務減少を望んでいるかのよう
⑦財政規律を軽視する安倍首相の責任は重大。財政ポピュリズムのツケは将来世代に回される。
⑧大統領や中央銀行総裁が危機感を持って警告するイタリアが、まだ健全にみえる。


現状の日本(財務省資料より)


1.日本の一般会計の歳出と支出の推移

以下のグラフにある通り、赤いグラフの一般会計歳出は直近100兆円程度で高止まりしています。一方、青い線グラフの一般会計税収は消費税増税や景気回復による法人税増収で増加しています。しかしながら、依然として毎年30兆円以上の国債を発行してようやくバランスしている状況です。

 

2.債務残高の推移

下の表は公債の発行残高の推移ですが、毎年増加して平成30年度末には883兆円とされています。その他を含めたその他の借金は2018年3月まで1087兆円とされています。

3.債務残高対GDP比率の国際比較

日本の債務残高対GDP比率は国際的にかなり高い水準となっています。

4.基礎的財政収支対GDPの推移

以下の表は直近に見直しているので最新のものではないと思われますが、プライマリーバランスとGDPの比率は改善するとみています。これは借金は増えるが、税収が増えるからだということを前提としています。


本当に日本は大丈夫なのか?財政破綻はしないのでしょうか?


政府の考えは

①債務残高/②名目GDP

を低下させればよいというもののようですが、

①は税収、社会保障費、金利
②は労働投入量、生産性、資本投下量
で変わってきます。

このような現状の日本は少子高齢化が進みます。
社会保障費は増加で債務残高の変動要因となるコストは増加します。

2053年には一億人割れします。労働人口は減少します。
労働投入量は減少しますが、経済成長を続けることができるのでしょうか?

経済成長すれば債務残高が増えてもいいという考えは楽観的すぎる、リスクが大きいというのが個人的な見解です。

破綻はしないと思いますが、一度は悪い金利上昇により「日本危機」が生じることで日本の借金を棒引きししなければならない状況が生じると思われまます。その際の日本は現状の公的サービスを受けられなくなるとも推察されます。

 

10年後、20年後、30年後、その先の日本を想像してみると・・・
現在の子供たちが現役世代として迎える日本の将来は明るいでしょうか?

多くの政治家から危機感は感じられません。我々国民こそ危機感を持つ必要があると個人的には考えています。

諸先輩の方々がこれまで創りあげた素晴らしい日本を次世代に継承できるようにするのが我々の責任だと思います。

 


本文:イタリアより深刻な日本(大機小機)


 イタリアの国債利回りが急上昇した。欧州連合(EU)懐疑派の極右・ポピュリズム(大衆迎合主義)政権の誕生による財政拡張への懸念からだ。このままでは債務危機が再燃しかねない。だが、そのイタリアより財政がずっと深刻なのが日本である。

安倍政権は借金や利払いを除外する基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標を2020年度から25年度に先送りした。一方のイタリアは、基礎的収支の黒字を維持している。財政収支の赤字も国内総生産(GDP)比で1.9%とユーロ基準(3%以内)を満たす。長期債務残高のGDP比は131%とユーロ圏ではギリシャに次ぐ高水準だが、日本の236%とは比べようがない。

基礎的収支の黒字化は本来、短期目標である。プライマリーとは基礎的というより初歩的という意味で、跳び箱でいえば3段くらいだ。ユーロ圏の主要国などが財政収支の黒字化を目指して7段の跳び箱を跳んでいるときに、日本は20年以上も、3段の跳び箱の前でためらい続けている。

その目標を5年も先送りするのには驚く。21年度の中間目標も大甘だ。日本が仮に欧州の国であってもユーロには加盟できない。

経済大国である日本がなぜこんなことになったのか。少子高齢化が進行中なのに、消費増税を先送りしてきたうえに、社会保障制度にもメスを入れなかった。来秋の消費増税には、経済対策で備える手厚さだ。東アジアの緊張で、防衛費のGDP比1%原則も外されかねない。

黒田東彦日銀総裁はそんな財政危機に警告するどころか、膨らむ財政赤字を事実上の財政ファイナンスで支えている。出口戦略を先送りすれば金利急騰など潜在的リスクが累積する。

何より与野党とも政治家の危機感が乏しすぎる。悪性インフレによる債務帳消しをもくろんでいるのか。財務官僚にいたっては財政再建どころか、首相の顔色をうかがって公文書改ざんなど大罪を犯している。

財政規律を失わせた安倍政権の責任は重大である。長期政権に求められる不人気の改革を避けてきた。財政ポピュリズムのツケは必ず将来世代に回る。政治混乱のなかで、大統領や中央銀行総裁が危機感を持って警告するイタリアが、まだ健全にみえる。(無垢)

(出所:日経 6月1日)


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