ロイターで次の二つのニュースがありましたので、ご紹介します。
①コラム:凋落のドイツ銀が市場に生む「疑心暗鬼」
②イタリア新政権の財政拡大措置に警告、中銀総裁「崖から転落」
ポイントは以下の通りです。
①「ドイツ銀行・・・」についてのポイント
ドイツ銀行に関しては、すでに「【ブログ】ドイツ銀行に生じている異変(18/6/4) 」でおしらせしていますが、①のコラムでは、現在、金融市場ではデリバティブ残高が50兆ドル(5500兆円)あるドイツ銀行が市場の混乱を最低限にとどめつつ、存在感を円滑に少しずつ縮小できるできるかという問題があるということです。
デリバティブ取引とは、その多くが市場を通さなずに相対で行う取り引きになります。例えばですが、単純化した取引は以下のようになります。
・A銀行:固定金利の住宅ローンを貸し出したけど、金利上昇が怖いから変動金利にしたい(銀行の負債は多くが預金であるため固定金利より変動金利の資産で運用するのが銀行にとって望ましい)
・B保険会社:変動金利で貸し出したB保険会社は固定金利の方がよかった(保険会社の負債は長期に予定利率(固定金利)で保証するので資産側も固定金利が望ましい)
というケースがあった場合
その際にドイツ銀行がとる行動は、A銀行から固定金利での支払いを行い、一方で変動金利を受け取ります。そしてB保険会社からは変動金利を受けて、B保険会社に固定金利を支払います。
この単純化した取引を絵にすると以下の通りになります。
固定金利①→ 固定金利②→
A銀行 ドイツ銀行 B保険会社
←変動金利③ ←変動金利④
ドイツ銀行は大きなリスクをとらずに、固定金利①と②の差、③と④の差が利ざや・収益(或は損失)を獲得することができます。
実際に、ドイツ銀行の正味のエクスポージャー(リスク)は200億ドルとされています。50兆ドルのリスクはとっていません。
ただし、上述したように、ドイツ銀行は5500兆円の取引を市場影響を最小限にした上で縮小できるかが問題となっています。
こんな一文がありました・・・
『国内もしくはユーロ圏の競合他社によって買収される、もしくは国有化されるのではという憶測さえ頻繁に飛び交うようになっている。投資家はこのトンネルの先にさほど明るい光があるとは期待していない。』
②「イタリア新政権・・・」について思うこと
以下、短いので本文を掲載しますが、イタリアの中央銀行総裁は新連立政権が取ろうとしている積極財政(公共投資などにより財政支出を拡大すること)について、
身の丈に合わない財政支出をすると、崖から転落するリスクをもたらす
と警告しているということです。
一方、日本はどうでしょうか?財政規律は軽視されているという認識です。
(関連記事:【ブログ】イタリアより日本は深刻(日経:大機小機)を読んで(18/6/2))
日本の財政リスク、日銀資産が抱えるリスク・・・
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[ミラノ 8日 ロイター] – イタリア銀行(中央銀行)のビスコ総裁は8日、同国の財政状況について、いかなる政権も国の財政に与える影響が限定的な政策しか取れず、そうでなければ崖から転落するリスクをもたらすだろうと述べた。
イタリアの公的債務は世界第3位の2兆3000億ユーロ規模。
ビスコ総裁は、財政政策について「身の丈に合わない措置を取るべきではない」と警告した。
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