【ブログ】『米国での逆イールドに現実味・・・』の概要とインプレッション


いつも訪問ありがとうございます。

ロイターで、「米国での逆イールドに現実味、冷え込む日本勢の米債投資」という記事がありました。

概要とインプレッション(個人的な見解)についてお知らしたいと思います。

 


そもそも逆イールドって何?


1.イールドカーブとは

金利水準は、期間(残存期間)によって変わります。預金した場合でも、普通預金より預け期間の長い定期金利の方が利率が高くなっています。
期間が長いほど一種のプレミアムが乗るので、横軸に残存期間、縦軸に利回りを取った場合、そのイールドカーブ、或は、利回り曲線は右肩上がりの曲線になります。

下の表がイールドカーブのいくつかの形状を表していますが、通常ならば「順イールド」とよばれる形となります。

そして、長期金利と短期金利の差が広がることを「スティープ化(スティープニング)」長期金利と短期金利差の差が縮小することを「フラット化「フラットニング)」といいます。また、長期金利が短期金利より短い状況を「逆イールド」といいます。

ただ、そのスティープ化とフラット化も以下の表のように状況によって異なります。

アメリカの場合、直近は①のベア・スティープ(景気回復・将来金融引き締め)から②ベア・フラットニング(景気過熱・金融引き締め)へシフトしています。
(ブルが「強い・上がる」、ベアが「弱い・下がる」を意味します。債券価格が「ベア」というのは、債券価格の下落となりますが、利回り=利息/債券価格なので利回り上昇を意味します。債券価格が「ブル」というのは、債券価格の上昇となりますので、利回りの下落を意味します。)

2.逆イールドとは?

上述したように逆イールドとは、長期金利が短期金利より低い水準にあります。

景気後退の予兆とされています。

例えば、明日引き出すことのできる普通預金の金利と期間1年の定期預金を比較したときに、普通預金の利率が高いということはありますか?
そのような状況には違和感を感じませんか?

通常ならば、インフレリスクを負うことからプレミアムを要求することから長期金利の方が短期金利の方が高くなります。
それではなぜ長期金利が短期金利より下がるのでしょうか?

それは、将来的な金利低下を見込んでいる=景気後退を予想している、からだと考えられます。


記事概要


1.米長短金利差が大幅縮小~10年超ぶりの水準
-2007年8月27日以来の米2年国債と10年国債の利回り格差は36.18bpまで縮小。

-当時は「パリバショック」が発生していた

-FOMCで今年に入って2度目(累計では7回目)の利上げを決定。今年はあと2回の利上げが実施される見通しであり、年末には長短金利が逆転する可能性がある。

-逆イールドについて、パウエルFRB議長は明言を避けているが、米経済にマイナスのシグナルを送ることになると警鐘を鳴らす連銀総裁もいる。

2.過度な金融引き締めを警戒
-みずほ証券上野泰也氏は「幻のインフレ懸念に突き動かされて無理に利上げを重ねてきたことが、米国債のイールドカーブのフラット化、株価の不安定化、新興国経済の動揺に結びついている」と指摘。このあたりで利上げを停止して様子を見るのが、政策論として妥当ではないかと話す。

-みずほ総合研究所・市場調査部主任エコノミスト、殿岡直樹氏は「金融政策が過度な引き締めにならない限り、逆イールド化がリセッションのシグナルになることはないだろう」との見方を示す。

-SMBC日興の野地氏は「2年債が中立金利に近づく過程で、イールドカーブはフル・フラットから逆イールドになると予想される」とし、「むしろ心配なのはFRBが利上げを継続する中で、新興国からの資本流出が広がり、プチ・ショックのような形で金融市場が不安定化することだ」と警戒している。

新興国から米国への資金流入の加速が、米長期金利の上昇を抑制し、逆イールドの実現時期を早める役割を果たすのではないかという予想も、市場の中で広がり出した。


個人的な見解


 

疑問に思うのは
①長期金利は上昇するのか?
②新興国動向(通貨、株価、インフレ、資金の行方)
③利上げはできるのか?
の3点です。

年内に2回の利上げをして、単純計算で現状(18/6/18)の米2年債利回り2.53%が3.03%に上昇した場合、米10年債利回りは2.90%なので、13bp(=0.13%)上昇しない限り、逆イールドになると計算されます。

今年5月に米10年債利回りが3.1%に上昇したことがありますが、下の表にある通り、3.0%が意識される中で、この先、3.0%を超える可能性が高いとは言えないと考えられます。

記事概要にあった通り、新興国からの資金流入分が株式に投資されればよいのですが、ここ最近は債券投資に資金が流れていると思われます。
新興国の動向に懸念を感じる投資家は債券投資に資金を配分しているようです。
また、ECB理事会のハト派的な声明を受けてユーロ安にもなっていますが、このような影響もあり金を中心とした商品価格は下落しています。
このような状態でリスクが小さい投資先として米長期債が想定されます。

 

現状のままでは個人的なメインシナリオは、米イールドカーブは逆イールドになるということです。

そして、みずほ証券の上野さんが言うように、その過程の中で新興国におけるリスクが顕在化することによってアメリカが利上げを出来ない状態になるかもしれないとも考えています。

米長期金利が上昇するシナリオが描ければ問題ないのですが、現在、個人的にはそのイメージをできる理由をあげることができません。
あえて挙げるとすると、中国が大規模な経済対策を行うとかでしょうか?

似たようなことをお伝えしていて申し訳ありませんが、イールドカーブの簡単な説明を加えてご紹介させていただきました。


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