主要国のチャートを見ることで資金の潮流がどうなっているのか考察してみたいと思います。
そもそもは日米欧の同時金融緩和で多くの資金が世界中に流れたのですが、米国が利上げに転じて資金の流れに変化が出ました。
一つの変化が新興国株からの資金の流出です。新興国ではドル高・自国通貨安となる中で輸入物価高騰によるインフレ対策や通貨防衛の観点から利上げに踏み切る国がみられるようになりました。すでにお知らせした通り、トルコでは株や通貨(トルコリラ)が急落するなどトルコに潜むリスクが表面化しました。
欧州でも軟調な経済指標が散見されるような経済成長に対して懸念が生じる事態となっているほか、イタリアやスペインの政情不安もあることから欧州からも資金が流出しているようにみられます。
商品の中では、金は金利上昇している状況では相対的魅力が減退し、原油はこれまで上昇基調にありましたが、産油国で減産緩和の方向にあるということで下落圧力が強まっています。
このような動きもあり、現状は下の表にある通り米株に資金が集中しています。
では、この先はどうなるのか?
米国は経済が堅調な状況となっています。6月12-13日にFOMCが控えていますが、利上げを前提とした場合、
・このまま米株に資金が流れる中、上昇し続ける
こともあるかと思いますが、それ以外の可能性を考えてみましょう。
①欧州に資金は行くか?
②新興国に資金は行くか?
③日本に資金は来るか?
④日、欧、新興国の経済状況は上向くか?
⑤次に流れる対象資産は何か?原油か?金か?債券か?その他の国の株か?
いつという予想は難しいですが、もしネガティブなことが生じた場合、その際は日本円が買われる可能性が高いと思われますが、皆様どうでしょうか?
中国、新興国の株価チャート
☟は中国の上海総合指数の株価推移です。日米欧の株価指標は急落以降、株価が半値以上は戻していますが、上海総合指数は戻していません。
☟はMSCI Emerging Marketsのチャートですが、急落以降で確認しているチャートで最もパフォーマンスが悪い状態にあります。
新興国からは資金が流出していることがこれらチャートから確認できます。
欧州の主要指標チャート
まず☟のユーロ・ドルの推移を見てみましょう。ドル金利上昇→ドル高が進む中で、イタリア情勢不安が表面化したこともあり、ユーロは安い状態が続いています。米金利が下落した局面もありましたが、ユーロの安い状況は変わりませんでした。
☟はDAXの推移です。ユーロ安がサポートしたのか急落以降株価が大きく戻しましたが、現在は下落圧力が強まっています。
☟はイタリアとトルコの株式指標のチャートですが、直近の下げが大きくなっています。
米国の主要指標チャート
まず、☟のドル指数の状況を見てみましょう。
1月の急落以降、ドルは大きく売られましたが、金利上昇とともに急激なドル高が進行しました。
☟はS&P500のチャートですが、欧州株や日本株が調整する局面でも下落することなく、6月4日はもみ合い圏を上抜きました。
☟はNasdaqのチャートですが、日欧新興国の株価が下落している中でも強い上昇を続け、6月4日は終値ベースで過去最高を更新するまで上昇しています。
原油・金価格のチャート
☟は最も強く推移してきた原油価格のチャートです。政情不安や産油国の協調減産の影響から価格は上昇してきました。
ところが、直近では減産緩和の動きがあり、下落圧力が強い状態にあります。このまま原油市場から資金が撤退する可能性があります。
☟は金価格の推移ですが、安全資産としての魅力があったため価格下落をしてきませんでしたが、直近のドル高や米金利上昇傾向が価格下落という流れを作っています。
国内主要指標のチャート
☟は日経平均のチャートです。急落以降、ドル高・円安が進展する中、株価は上昇に転じ23,000円を付けましたが、南欧情勢不安による調整→株価回復して22,500円近辺という状況にあります。
☟のドル・円ですが、急落後の104円台→米金利上昇・ドル高による円安111円台→南欧情勢不安による調整108円台→110円近辺まで戻すという流れにあります。
やはり、日本株上昇の重要なファクターは円安と米株高だと考えられます。
さて、もう一度考えてみましょう。
①米株高・円安の状況は続くのか?
②米株が調整するとしたら、どの資産に資金は流れるのか?
- 米株以外のリスク性資産はどれが魅力的??
- リスクオフの流れは急なものか、それともそれほど急なものにはならないか?
- 円はどうなる?
③6月12-13日のFOMCで利上げペースが年4回となったらどうなるか?
いつもありがとうございます。
☝こちらをクリックお願いしますm(__)m