【ブログ】アナリストの決算分析対応と決算分析資料


以前、YouTubeでアナリストの決算分析対応でお知らせしましたが、改めてその決算発表後のアナリストの業務内容などをお知らせしたいと思います。
証券会社、アナリストによって異なる場合もあるかもしれませんが、基本的な対応をご紹介します。


決算発表後にまず行うこと


決算発表は東証の「適時開示情報閲覧サービス」で第一報が公表されます。

以下は5月18日に東京海上HDが決算発表した際の適時開示の画面になります。「東証適時開示」と検索いただければと思います。アナリストは極めて時間がない中ですが、一番最初にここを見に行きます。(以下では、東京海上をベースに説明させていただきます。)

資料は4つありますが、ファーストインプレッションを知らせるために中でも決算業績を示す決算短信資本政策をしめす自己株取得を見に行きます。配当についても別途資料があったらこの資料も見に行きます。

(自社株買いについてこちらのページでまとめています。)


発表時の株価変動


以下は本日(18/5/31)に確認した東京海上の30分足の株価変動ですが、赤丸で囲ってありますがこの資料を公表した時点で急上昇しています。これは、自社株買いを好感しての動きです。

場中に決算発表がある際には、決算実績、業績修正、配当修正、自社株買いなどの情報をもとに大きく株価は変動します。超短期のトレーディングとして収益機会を狙うのはありかと思います。

ただし、一瞬で大きく変動しますので、自分の予想と違う動きをした場合には無理にトレーディングしない方がよいと思います。想定と異なる株価の動きをすることもあります。私自身、逆にいって投げてしまうこともあります。


決算短信で見るべきポイントは?①


自社株買いをする場合は別途資料を公表しますが、決算実績や配当については決算短信で確認できます。

決算短信でまずみるのは、セクターによって異なるかもしれませんが、赤線で囲ってある三つの部分です。

<決算短信1ページの見る三つのポイント>
決算実績は増収(減収)か?増益(減益)か?会社予想、自分の予想、コンセンサス予想と比較してどのような水準かを確認します。(一番上の赤い囲み)
②次に連結業績予想を確認します。これも増収(減収)か?増益(減益)か?自分の予想、コンセンサス予想と比較します。
③最後に配当がどのようになっているかを確認します。減配、増配などの変化があるかをみます。

ファーストインプレッションとしては、まず上の三つのポイントを見て判断します。自分の想定より良ければポジティブサプライズ、悪ければネガティブサプライズ、想定通りならばニュートラルというようなものです。また想定に近い中、ポジティブ、あるいはネガティブというような表現もあると思います。

当然ですが、自分の予想と異なる場合、会社などに電話してその予想と異なる内容をつぶしに行きます。

東京海上の場合、決算は事前に2017年に生じた海外の自然災害であまりよくないことは知られていました。その状態から自社株買いや増益予想を出しているのでポジティブサプライズ、少なくともポジティブと評価されると思われます。

また、以下は決算短信にある目次ですが、経営成績や業績予想についての説明が2ページにあるとされていますが、その内容で特殊な内容が記載されていないかを確認します。特に、業績予想においては、計画の前提となる為替レートの水準を確認できますのでとても重要です。


アナリストの決算対応とは?②


その後はたいてい決算発表した会社とセルサイド・バイサイドアナリストとの電話会議(テレフォンカンファレンス)が行われますのでその会議に参加し、内容を確認して質疑への対応を行います。
その内容はホームページにいくと公表されていることが多いです。(東京海上はこちらから電話会議を聞けます。)

電話会議に参加するのですが、その前後に作業するのが決算短信、決算補足資料、決算資料などからの財務データの入力です。

東京海上の投資家向けホームページからは以下の資料が決算後に公表されているということが確認されました。

・平成30年3月期 決算短信・記者会見資料
・2017年度決算概要及び2018年度通期業績予想
・電話会議用補足資料
・決算データ集

アナリストは過去からの時系列で詳細なデータを積み上げていますので、決算実績を入力して、必要に応じて業績予想を見直す作業を行います。公表されているデータ以外も会社に問い合わせることもありますが、公表されているデータの八割以上はデータベースに入力していると思われます。(ほぼ全部といっていいと思いますが・・・)

そして必定に応じて会社に問い合わせをしながらアナリストレポート・メモを書くという作業を行います。

インプレッション、業績動向の要因分析と評価、株価の妥当性を判断して必要に応じて修正します。


その後の対応


決算当日は、①ファーストインプレッションの報告、②電話会議の参加、③データ入力等を経てアナリストレポートやメモの執筆を行います。

その後の対応は二つあります。一つは決算説明会への出席、もう一つが決算発表会社への取材です。

東京海上の場合、5月25日に決算説明会を新中期経営計画IR説明会として行っています。
このような場では別途資料が配布されてそれに沿っての説明があります。その内容によって株価が変動しうることもあるとても重要な説明会です。
動画がアップされていますので関心ある方はそちらもご覧ください。

決算説明会に出席後、取材に行きます。データ入力して違和感のある内容や決算説明会で確認しきれなかったことなどがあれば個別にヒアリングするという作業を行います。

このような作業を経て、レポートを書いたり、プレゼン資料を作って国内外の投資家への説明を行うことになります。

働き方改革の対象になっているようですが、アナリスト業務は極めて激務????だと思われます。

 


決算資料等の確認


一般の方がすぐ見れるのは決算短信です。決算説明会後には決算説明資料をご覧いただけると思います。

現状ならば各社の決算説明資料(プレゼン資料)を見てもらえればと思います。主なポイントは、決算実績や業績予想について
・経営戦略はどのようになっているのか?
・売り上げの伸びはどうか?
・利益はなぜ増えているのか?減っているのか?
・これまでとの変化は何か?
・資本政策はどうなっているのか?(株主への還元姿勢はどうなのか?利益の何十パーセントを配当や自社株買いに充てるのかなど)
ということになります。決算短信よりは見やすい形でプレゼン資料にまとめられています。

「会社名」と「IR」を入力して検索してもらえれば各社の決算に関する資料や説明会の情報が確認できます。

是非皆様も投資対象となる会社の業績がどのような状況なのかということを会社が公表する資料などを通じてご覧いただければと思います。

 

なお、そのほかに公表される資料としては

・有価証券報告書(東京海上はこちら
・アニュアルレポート(東京海上はこちら

などがあります。

このような資料にしかないデータもありますので、そちらも見に行くことがあります。
就職活動する学生の方は決算説明資料やアニュアルレポートを見るのもよいと思います。


いつもありがとうございます。

こちらをクリックお願いしますm(__)m


 









コメントは受け付けていません